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展示場内の蜘蛛の巣の所有者はクモか作家か

展示場内の蜘蛛の巣の所有者はクモか作家か

Posted November. 08, 2019 08:24,   

Updated November. 08, 2019 08:24

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アルゼンチン出身の芸術家トマス・サラセーノ(46)の作品「ハイブリッド建築物」は、クモが主人公だ。複数の種のクモ2、3匹が短くは一週間、長くは8週間にわたって作った蜘蛛の巣が結合されて一つの建築物が誕生した。もう一つの設置作品「アラクネコンサート」では、クモが起こす揺れがスピーカーによって響き、暗い会場の中のほこりと共鳴する。観客は息を殺したまま、この光景を見守る。

先月30日、ソウル鍾路区(チョンノグ)のギャラリー現代で、サラセーノの個展が開幕した。ドイツのベルリンを基盤に活動するサラセーノは、10年以上にわたってクモと協力者として働いた。彼は今年、ベニスビエンナーレでも国家館の中に「蜘蛛/巣」ブースを設けて、蜘蛛の巣設置作品を披露した。子供の頃、古い家の屋根裏部屋にいっぱいだったクモを見て、「うちの家の所有者はクモか、それとも私か」と空想していた少年は、クモの目で世界を眺めようと試みる。

サラセーノが名をはせ始めたのは、大型設置作品を通じてだ。2008年に披露した「Galaxies forming Along Filaments」は、蜘蛛の巣からインスピレーションを得て、人類の新しい住居形態について悩んだ。狭い土地に密集した都市の住宅から脱して、お互い有機的に繋がり、境界なしに行き来できるシステムを芸術家の想像力で提案した。

今回の個展の会場の地下で会う「ソウル/クラウドシティーズ」は、このように作家が夢見た「雲の都市」の姿をソウルに結合した。ベルリン・ハンブルガー・バーンホフ現代美術館で披露した大規模な「雲の都市」は、観客が直接クモになったように、透明な球の形の空間を行き来できるので人気だった。ソウルはこれに比べれば小さな規模だが、雲のように自由に飛んでいく新しい社会の姿を想像できる。

生命科学や熱力学などの最新技術を活用して、観客を魅了する方法は、デンマーク出身のアーティスト・オラファー・エリアソンや英国基盤のグループ・ランダムインターナショナルを連想させる。没入に近い経験と写真を撮りたくなるビジュアルも、このような傾向とかみ合う。このため、自然史博物館にふさわしい作品という懐疑的な視線もある。「芸術の領域がどこまで拡張できるだろうか?」という話題で見守るに興味深い作家だ。12月8日まで。


金民 kimmin@donga.com