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美しくはないが愛おしい、「111歳の赤毛のアン」に

美しくはないが愛おしい、「111歳の赤毛のアン」に

Posted September. 28, 2019 09:20,   

Updated September. 28, 2019 09:20

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ソウル城東区ソウルの森第2通りにあるギャラリアフォーレMMMは、現在進行中の展示会「私の名前は赤毛のアン」の終了時点を10月末から来年4月に延長することを決めた。観覧客の訪問が絶えないためだ。「赤毛のアン」を素材にしたイラスト、会話、映像など見どころのある展示に対して、「昔が思い出されて感動した」という評価や、「最近大変だったが、明るいアンの姿で癒された」といった感想が相次いでいる。平日には1日平均1千人程度が訪問し、週末には1500人を超える」と、企画を担うメディア・アンド・アート側が説明する。

「赤毛のアン」のブームが熱い。「赤毛のアン」はカナダの小説家、ルーシー・モード・モンゴメリー(1874~1942)が1908年に出版した小説で、孤児の少女が農場を経営する兄妹のもとに誤って養子となり、繰り広げられる話だ。豊富な想像力で、相手によどみなく正直に話す赤毛の少女は、子どもや青少年だけでなく、成人も愛するキャラクターとしての位置を確立した。

展示会だけでなく、原作小説の反応も良い。出版されて111年が経ったが、「赤毛のアン」は、教保(キョボ)文庫のベストセラー小説部門1位(26日基準)になっている。さらにモダン出版社で出したこの本は、日本のアニメ原画も共に載せている。1980年代に国内テレビでも放映された絵であり、「懐かしい」という読者の反応が多い。ザモダン出版社のチャン・ヨンジェ代表は、「本を購入した人の中には、40代女性が多い」とし、「子どもの頃を思い出させる話と絵に読者が刺激されたとみえる」と説明した。この本は4ヵ月間で10万部が販売され、原作を読んでみたいという青少年の要請で、今月初めに出した英文版も2週間で初版3千部が売れた。

小説のドラマ化も話題だ。ネットフリックスでは、ドラマ「赤毛のアン」シーズン1、2の人気に力づけられ、シーズン3を制作し、今年の下半期に公開する予定だ。



小説家のペク・ヨンオク氏は、「赤毛のアン」のこのような人気の要因について、「不確かな時を生きているため」と診断する。彼が3年前に出版したエッセイ「赤毛のアンの言葉」は、35万部が販売され、人気を呼んでいる。ペク氏は、「私たちが直面した今この時代は、誰が善人なのか悪人なのか区別できず、『因果応報』が作動しない時代だ。矛盾した概念を抱いて生きていかなければならない社会なので、小説ででも善良な人は幸せになり、結論が安定的に終わる苦戦に引かれるのではないだろうか」と説明した。個性は強いが心が善良な少女が、自分の面倒を見る兄妹の助けを受けて夢に近づくという内容は典型的な構造ではあるが、目まぐるしく変化する世の中で疲れを感じる21世紀の読者には安定感を与える。

 

「女性叙事」が注目され、アンの魅力に再びスポットライトが当てられたという分析もある。「赤毛のアン」を翻訳したパク・ヘウォンさんは、「『赤毛のアン』の背景になる時代は、女性が従順であることが期待された時代であり、この時の小説は、女性が社会的に自己を実現できる突破口だった」と語った。当時の抑圧された女性像を解放させた進取的で独立的な女性像を描いた小説「赤毛のアン」は、女性主体の重要性が浮上する最近数年間の社会変化とかみ合っている

金志映 kimjy@donga.com