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インダス文明の秘密、ゲノムで解いた

Posted September. 06, 2019 08:44,   

Updated September. 06, 2019 08:44

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世界4大文明の一つであるインダス文明を起こした主人公たちが、今のイラン地域から移住した人類の子孫である事実が、旧人類500人のゲノム(生命体が持つDNAの総合・遺伝体)の解読結果明らかになった。彼らは独自に農業革命を成し遂げてレベルの高い都市文明を遂げたが、気候変動により、バラバラに分かれて東南アジアや欧州遊牧民に混ざって、今の南アジア人になったことが分かった。

デビッド・ライシ米ハーバード大学医学部教授チームは、約8000年前から今まで中央アジアと南アジアに住んでいた523人の遺骨でゲノムを解読して、南アジア人の移住と文明の進化経路を明らかにした。研究結果は、国際学術誌「サイエンス」と「セル」6日付にそれぞれ発表された。

インダス文明は、約4500〜3500年前にインド北西部とパキスタン地域で花咲かせた古代文明である。農業が発達し、「ハラッパー」と「モヘンジョダロ」のような排水路を備えた人口数万人の計画都市が建設された。メソポタミアなどの他の文明との貿易も活発だった。しかし、約3500年前に気候変動により、この地域が急激に乾燥したことで、人口の多くが他の場所に移動し、文明は崩壊した。人類の歴史の中で最も重要な古代文明の一つだが、暑くて湿気の多かった昔の気候のため、遺骨からDNAを採取することが困難で、彼らの移動経路を明らかにできなかった。しかし、人類が移住しながら、現地で出会った他の人類と遺伝子を交換することになり、混ざった遺伝子の割合を追跡して移動経路を明らかにすることができた。

ライシ教授チームは、インドの研究チームと一緒に中央アジアと南アジアにかけて約8000年前から今まで住んでいた人類523人の遺骨からゲノムを採取して解読し、長い時間にわたる人類の移住経路を明らかにした。また、インダス文明の代表都市の一つであるラーキーガリーで発掘した61人の遺骨から試料を採取して、当時の人類の正体も把握した。ライシ教授は、「暑さと湿気によって破壊され、一人一人のゲノムは解読できなかったが、61名の部分別のDNAを集めて全体集団のゲノム特性を把握することができた」と語った。

研究結果、インダス文明を導いた人々の祖先は、今のイラン地域に住んでいた古代イラン人であることが分かった。古代イラン人の祖先は、それより西に位置した今のトルコの北東部に住んでいた人類と確認された。例えるなら、インダス人の母親は古代イラン人、祖母はトルコ北東部の人類であるわけだ。

トルコの北東部はよく「肥沃な三日月地帯」と呼ばれ、農業の発祥の地として知られている。このため、これまでインダス人が「祖母」のトルコ北東部の人類から農業を伝授されたとされてきた。しかし、今回の研究結果、農業伝授はなかったことが確認された。トルコの北東部から古代イラン人が分離されたときは1万2000年前で、まだ人類初の農業が誕生していなかったからである。インダス文明は農業を独自に誕生させたことになる。

一方、インダス文明の崩壊後、インダス人は東南アジア人と混ざった。ロシア・モスクワ南付近の草原地帯(ステップ)に住んでいたと推定される青銅器遊牧民のヤムナ族とも混ざった。このように形成された混血インダス人が、今のインドなどの南アジア人になったことが分かった。研究チームはこの過程で、英語などの欧州語とインド語、イラン語、ロシア語など、世界30億人が使う言語群である「インド欧州語」がユーラシアに広がったと明らかにした。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com