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ソロモンの知恵

Posted September. 05, 2019 07:43,   

Updated September. 05, 2019 07:43

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聖書の中でソロモンは「知恵の王」と呼ばれる。賢明な判断力と決断力でイスラエルの太平を開いた人物だ。一人の赤ん坊をめぐって争った二人の母親に対する判決は、ソロモンの知恵を物語るエピソードだ。同じ家で同時期に子どもを産んだ二人の女性は、一人の子どもが死ぬと、もう一人の子どもを自分の子どもだと言い争い、ソロモンの下を訪れた。ソロモンの賢明な判決で本当の母親を明らかにした事件だ。

この話は多くの画家に人気を呼び、17世紀のバロック美術の最高の画家ルーベンスもこの主題を絵画にした。活力あふれるタッチと華やかな色彩、演劇的な画面構成はバロック様式の特徴だ。絵はソロモンが子どもの実の母親を判断するために、子どもを半分に切り裂くよう命じる瞬間を描いている。王の命令を受けた兵士は剣を持って子どもを切り裂こうとする。兵士の左手は子どもの片足を握って逆さまにしている。これを見て、驚いた黄色いドレスの女性は、自分は実の母親ではないと言い、もう一人の女性に子どもを渡すように言う。一方、白いドレスの女性は子どもを切り裂いても自分が母親だと言う。どちらが本当の子どもの母親だろうか。王の前で嘘をつけば命の保証がないことを知りながら、実の母親は子どもを助けるために嘘をついた。むろん、現代の法廷なら王はむしろ脅迫罪や児童虐待で告発されるが、この絵が伝えるメッセージは明白だ。大切なものを守るために命まで差し出した大きな愛と真偽を分ける指導者の判断力と洞察力の重要性だ。

アリストテレスは、「自分を知ることはすべての知恵の始まりである」と言った。ソロモンは王になるやいなや、神に何よりも知恵を授けるよう祈ったという。ソロモンの最も賢明な判断は、自分に何が足りないかをよく知り、それを得るために努力したことかもしれない。個人のことであれ国のことであれ、難局を克服するには知識や財物、力よりも、知恵が必要なのだから。