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ありがとう、班長

Posted September. 04, 2019 08:33,   

Updated September. 04, 2019 08:33

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少女は後に有名な写真家になり、自身のブログに投稿する。「班長、人ができる最も偉大なことが何か分かりますか。誰かがこう言いました。人を助けることこそ誰もができるわけではない偉大なことだと」

小説家チョ・ヘジン氏の小説『光の護衛』は、そのような偉大なことをした人々の話だ。ストーリーは、主人公の写真家の小学校時代に戻る。ある日、担任が少女が3日間欠席すると、班長に家に行って様子を見てくるように言った。少女は、台所もトイレも温もりもない部屋で毛布を頭からかぶっていた。班長は、少女が寒さと空腹で死ぬのではないかと思った。考えただけでも怖かった。彼は自分の家で偶然発見した輸入カメラを少女に持って行った。売って金にしろと。

人生をあきらめていた少女を、そのカメラが、いや班長が助けた。少女はカメラを売らず、それで部屋の中の物を撮り始め、もっと多くのものを撮ろうと外に出て行った。少女は、「シャッターを押す時、世の中のすべての隈から光が大量に流れ出て被写体を覆うその魔術的な瞬間」を経験し、生きる理由を見つけた。そして、世界の紛争地域に出て行って写真を撮る写真家になった。

彼女は、シリア難民キャンプを去る前、何を撮るのかという質問にこう答える。「戦争がなかったなら、あなたや私と同じ程度に泣いた平凡な人たち」。私たち同様平凡だが、戦争による傷と苦痛で私たちよりも多く涙を流す人々を撮るということだ。他者に対する憐憫。これは班長が約20年前に行動で示したことだ。

カメラを渡した班長、負傷してまで人々の痛みを撮る写真家、そして韓国だけでなく世界各地で危険を顧みずに誰かを助ける人々。チョ・ヘジン氏の小説は、そのように光の護衛を受ける人々の連帯を描く。無関心と冷笑の時代にも他者に対する憐憫は存在するという鑑として。