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私の自撮りが滑稽?60代の写真巨匠の溌剌とした抵抗

私の自撮りが滑稽?60代の写真巨匠の溌剌とした抵抗

Posted August. 30, 2019 09:57,   

Updated August. 30, 2019 09:57

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スマートフォンが変えた世界の様々な姿の一つといえば、断然「セルフィー(自撮り)」を挙げることができる。今もインスタグラムで、「#selfie」を検索すれば、世界で4億300万件以上の投稿が殺到する。この巨大なセルフィーの波に、最近米国出身の写真家シンディ・シャーマン(65)も加わって目を引く。ところが、シャーマンの写真は、通常のソーシャルネットワークサービス(SNS)のセルフィーとはちょっと違う。様々なフィルタを活用して、滑稽で歪曲された姿を作った。このような彼女の様々なセルフィーが、ソウル江南区(カンナムグ)のコリアナ美術館で開かれる国際企画展「とにかく、若さ」で展示されている。

この展示は、高齢社会で逆説的に強調される「若さ」をテーマにしている。韓国国内外の作家13チームの写真、設置、映像など21点を展示している。これらの作品は、すべての人が若く見えるために努力する世相を皮肉り、現代社会で年取ることがどのような意味を持つのか振り返る。シャーマンのインスタグラムのセルフィーは、会場の片隅の部屋にアイパッドと壁面プリントで展示した。

実はシャーマンが1980年代に披露した作業は、「セルフィー」の元祖といっても過言ではない。今ではあまりにも有名になった彼女の最初のシリーズ「無題映画スチール」(1977〜80年)は、アルフレッド・ヒッチコックの映画に登場しそうな女性キャラクターに扮したシャーマンのさまざまな姿を盛り込んでいる。髪の色や服を様々な方法で演出して、自分のアイデンティティを様々な形で示した。その後も、「センターフォールズ」「セックス・ピクチャーズ」などのシリーズを通して、千変万化な姿で自らを描いた彼女は、メディアの中の女性のイメージに疑問を提起したり、変化に富んだ女性の欲望を描いて、伝説的写真家に跳躍した。

このような流れから見れば、会場で目にできる彼女の「壊れた」姿は、単に滑稽ないたずらではない。むしろ一時的な華やかさだけを追うSNSへの抵抗に読まれる。時間と場所を選ばず、スマートフォンのカメラを突きつける群衆の素顔を、かえってばらしているのではないだろうか。

シャーマンのセルフィーは、彼女が一つの作品として出したものではない。ただ、展示のテーマと企画意図についてSNSメッセージで受けた作家が展示を認めた。彼女のセルフィーを会場で公開するのは、中国に次いで2度目だという。11月9日まで。


金民 kimmin@donga.com