Go to contents

過程が不公正なゼロペイ

Posted July. 12, 2019 07:11,   

Updated July. 12, 2019 07:11

한국어

もともと駄目なことを強引に進めようとすると無理が伴うものだ。最低賃金が上がり過ぎて、自営業者たちがやっていけないと街に繰り出すと、大統領公約に手を付けるわけにはいかないとして、他の手段で補償してあげるとして不満を静めようとして急ごしらえで切り出したのがクレジットカード手数料削減手段であるゼロペイだ。

中小ベンチャー企業部(中企部)とソウル市が先月、ゼロペイを専門に扱う民間企業を設立すると明らかにした。朴映宣(パク・ヨンソン)長官が新たに赴任した中企部が「ゼロペイ簡単決済推進弾」の名義でIBK企業銀行といった政府系銀行と新韓(シンハン)銀行、KEBハナ銀行のような主要都市銀行に公文を送り、10億ウォンずつ計300億ウォンの捻出を要求したことが確認された。捻出金は、法人設立後に寄付金として処理するという。

ゼロペイは加盟店と消費者の双方からお金を取らないため、最初から利益が生まれないビジネスモデルだ。この事業で収益を出すのは、むしろ最初の趣旨に反する。利益を生まない民間企業とは、「四角の丸」と同じように成立しない話だ。事業性がないうえに、政府の干渉から自由でない事業だ。まともな民間企業なら自分のお金を使ってやるはずがないから、政府系銀行と民間銀行を無理やりに動かしたのだ。

クレジットカード会社を系列会社として経営している殆どの銀行は、競争関係にある他社の決済システムを自腹を切ってまでして応援しなければならない呆れる状況だ。ここまでやっていれば、寄付金とは言え、刃物を持たないだけで強盗とどこが違う、というのが都市銀行の反応だ。それでいながらも、表向きには何も言えず、気を揉んでいる。同じ公務員である金融委員会でさえ、軍事独裁時代でもないのに中企部とソウル市が、どうしてこんな発想をするのか理解できないと言う。

最近、企画財政部が業務推進費など官署運用経費の支払いに使われる政府の購入カードに、クレジットカードと直払いカードの他にゼロペイを含ませた。カカオペイや三星(サムスン)ペイのように民間にも似たようなサービスがあるのに、ゼロペイだけを含ませたのは系列会社に仕事を集中発注する行為に他ならない。民間企業だったら直ちに公正取引委員会の調査対象になる話だ。ソウル市は、なるべくゼロペイを優先的に使うようにし、幹部たちは使用実績を報告するようにしたと言うから、最近発効された職場でのパワハラ防止法には抵触しないだろうか。

ゼロペイが初めて登場した昨年12月から今年5月までの使用実績は36万5000件の57億ウォンだ。PRや加盟店誘致に使った予算98億ウォンにも遥かに及ばない。同期間のクレジットカードが49億件の266兆ウォン、チェックカードが32億件の74兆ウォンだったのと比べると、どれだけ惨めな水準なのか分かる。

ゼロペイは、最初から政府が国の財政と税金の恩恵といった行政力を武器に民間の決済システム市場に飛び込んだわけだから、審判が選手としてプレーするような不公正ゲームなのだ。審判までプレーしたにも関わらず、実績はほぼゼロ。政府自ら批判したきた様々な形の不公正行為を自ら犯している格好だ。


金光賢 kkh@donga.com