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「ロト請約」や供給不足などの副作用が懸念される分譲価格上限制の拡大

「ロト請約」や供給不足などの副作用が懸念される分譲価格上限制の拡大

Posted July. 10, 2019 11:33,   

Updated July. 10, 2019 11:33

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政府が民間の宅地に建てるマンションに対して分譲価格上限制を拡大適用する方針を公式化した。金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官は一昨日、国会国通委員会で「住宅法施工令を改正し、指定要件を変える方向で検討を進めている」と述べ、近く分譲価格上限制を拡大導入する意向を明確にした。ソウルの民間マンションの平均分譲価格が今年5月を基準に、この1年間で12.5%ほど値上がりするなど不動産価格の上昇をけん引する雰囲気に歯止めをかけたいとしたものだ。

分譲価格上限制が拡大されれば、民間宅地のマンションも地方自治体の分譲価格審査委員会で分譲価格が適当なものなのかについて審査・承認を受けなければならない。公共宅地マンションのように地価が政府が決めた基本型建築費に加算経費を追加する方式で分譲価格を決めることになるため、従来より分譲価格が大きく下がることになる。

こうした政府方針は、短期的には住宅購入需要者を誘い、既存の住宅売買価格を下げるなどの効果が期待できる。だが、分譲価格上限制が根本的に価格安定対策になるとは考え難い。「ロトマンション」と言われた2006年の板橋(パンギョ)新都市分譲の例からも分かるように、最初の分譲価格が安くても、マンション価格は、教育や交通など住居環境が反映された周辺の相場に応じて上がる可能性が高い。分譲価格上限制の拡大実施は、そこを狙う投機需要を刺激することになりかねない。

再建築事業の収益性悪化が中長期的な供給不足を招き、不動産市場を不安定化させる可能性がある点も問題だ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の2007年にも分譲価格上限制が民間宅地に拡大実施されたが、3年後に民間マンションの供給が13万戸以上も激減したことがある。直接利益を上げにくくなった建設会社が採算を取るために設計や施工の経費を削り、住居の質が下がる恐れも大きい。

さらに政府は、すでに管理処分計画の認可を受けているソウル江南(カンナム)の再建築マンション団地を狙って、分譲価格上限制の適用時期を管理処分認可から入居者募集公示に修正しようとしているが、これは政策への信頼の下落と遡及立法で財産権を侵害するという憲法違反の危険性を避けがたい。

分譲価格を無理に下げようとする政策は、市場の流れを逆らうものとなり限界と副作用が明白だ。人為的に上限を規制するよりはソウル江南地区に集中する不動産市場の需要を認めた上で、これを分散させて吸収する手立てを模索することの方がより重要だ。また相場差益を狙う投機行為をしっかり取り締まることで実需要者が被害を被ることがないようにするべきだ。