Go to contents

新曲発表すればSNSですぐ歌詞の翻訳を共有、K-POPのグローバル化をけん引

新曲発表すればSNSですぐ歌詞の翻訳を共有、K-POPのグローバル化をけん引

Posted July. 08, 2019 08:50,   

Updated July. 08, 2019 08:50

한국어

防弾少年団(BTS)の海外コンサートで、韓国語の「テチャン(一緒に歌うこと)」はもうおなじみの風景だ。ユーチューブなどを通じて、ファンたちが歌詞の「先行学習」をしてきたからだ。BTSの「IDOL」のプロモーションビデオには、「ジファジャジョッタ(ヨイや、いいぞという意味)」「トウギド・クンドロロロ」のように極めて韓国的なやまびこが「Hooray it's so awesome」「Bum badum bum brrrrumble」など、外国人にも分かりやすく翻訳されている。「最も韓国的でありながら、世界的な歌」と海外ファンたちが褒め称えることに翻訳も一役買っている。

このように韓国文化コンテンツの世界的な成功は、適切な翻訳に負うところが多い。海外ファンたちが、しっかりしたアイドル音楽はもとより、映画や文学でもKコンテンツを知らせる尖兵役割を十分果たしている。

最も目立つK-POPは、その中心に韓国国内ファンたちがいる。かれらは所属事務所で運営するアイドル公式アカウントとは別に、新曲が出ると熱心にソーシャルネットワークサービス(SNS)に複数の外国語で歌詞を翻訳して広める。ツイッター「ジャガイモハルメ」「ア-ミ-サロン」など、いわば「翻訳界」と呼ばれるファンが代表的だ。

彼らは歌詞だけでなく、アイドルニュースが入った韓国語記事、メンバーたちの日常を扱ったVログ映像まで翻訳する。「Oppa(兄)」「Unnie(姉)」「Aegyo(愛嬌)」など、「ドル民政音」(アイドルと訓民正音を合わせた造語)を紹介した文もたくさんある。 BTSファンであるパク・ヒョンジョンさん(23・女)は、「海外ツアーを行き始めると、情報を得るのが難しいのが、今ではいつ、どこで活動しても『ファンジル(ファン活動)』が可能になった」と話した。

映画翻訳の重要性は、奉俊昊(ポン・ジュンホ)監督の「パラサイト」がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したことで、さらにスポットライトを集めている。海外で好評を受けた「息もできない」(2008年)以来、独立系映画も外国語字幕を制作する文化が定着した。「漆谷(チルゴク)のカシナたち」(2018年)は、おばあちゃんの慶尚北道(キョンサンブクド)の方言を米南部方言で表現して言葉の味を生かした。

表現が韓国的であるほど、翻訳が難しいのは当然の事。「パラサイト」の翻訳を引き受けた映画評論家ダルシー・パケットは、「チャパグリ」をラーメン(Ramen)とうどん(Udong)を合わせた「Ramdong」に翻訳するのに2時間がかかったという。「カカオトーク」と「コプドゥンイ」は、外国人に慣れている「ワッツアプリ」「カメムシ(Stink bug)」に変えた。

「Wow, Does Oxford have a major in document forgery?」(ソウル大学文書偽造学科なんてものはないか?)

特に意訳と直訳のうち一つを選ぶことは、翻訳者と監督には大きな悩みの種だ。「パラサイト」で在学証明書を偽造した娘のキジョン(パク・ソダム)にキテク(宋康昊)が口にしたこの言葉は、「ソウル大学が象徴する意味を伝えなければならない」という奉監督の要求に応じて、オックスフォード大学に変えた。「殺人の追憶」(2003年)で、「ご飯は食べているか」というトゥマン(宋康昊)のセリフは、外国人により身近な「Do you get up early in the morning too?」になった。

最近脚光を浴びているK文学の翻訳者は、韓国人、外国人、韓国人2世など多様だ。片方の言語についての理解が不足すれば、共同翻訳者を置いたり、第3者に下訳を依頼することもある。文学翻訳は他の分野に比べて難易度が高い。作家の隠れた狙いと文体の味まで生かさなければならないからだ。海外に韓国文学を輸出するKLマネジメントのイ・グヨン代表は、「以前より状況が改善されたものの、まだ検証された翻訳者を探すのは難しい」と話した。

詩の翻訳は何より難しい。文法にとらわれないうえ、辞書にないイディオムの頻度が高いからだ。このため、詩人と翻訳者との間のコミュニケーションが非常に重要だ。主語を入れるか、外すか、寛容句をどのように訳すかなど、構造が異なるので議論する部分が多いからだ。

このような苦痛の産物は、大きな賛辞を受ける結果物として誕生したりする。チェ・ジョンレ詩人(54)の詩「まだら」は、英国人翻訳家マット・マンダースロトとコラボして、2017年「Zebra Lines」に翻訳した。木陰によって身がまだらな姿を「ゼブラ柄」と表現したのだ。当時、オックスフォード大学で韓国詩の最高翻訳賞を受賞した。

しかし、現実で文化コンテンツの翻訳は依然副次的要素として扱われる。そのため、翻訳家たちはまだ厳しい締切に悩まされる。翻訳料も、中国、日本市場と比べて半分にとどまっている。パケットさんも、「5日間で急いで完成して渡した映画も多い」と打ち明けた。

翻訳システムが全体的に変わるべきだという指摘も出ている。キム・ホンシク文化評論家は、「ウェブ小説やウェブドラマなど、新しいコンテンツが出現し、ユーチューブなどの流通方式も多様化している」とし、「翻訳方式とプラットフォームも、このような流れを積極的に反映できる悩みが必要だ」と話した。


申圭鎭 newjin@donga.com