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板門店会談は「かなりよいショー」

Posted July. 06, 2019 07:35,   

Updated July. 06, 2019 07:35

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先月30日に板門店(パンムンジョム)で行われた米国と北朝鮮の3回目の首脳会談を一言で表現するなら、「政治ショー」ほど良い言葉はない。政治ショーは普通、否定的な意味で使われる。しかし、今回の板門店の政治ショーは、韓半島問題の管理に貢献した。ショーではあるが、肯定的に評価する理由がある。

むろん、トランプ米大統領をはじめ3人の指導者は、この首脳会談が偶然に実現したと主張した。彼らの言葉を信じるなら、トランプ氏はソウルを訪問した時、お気に入りの友人が遠くない所に住んでいることを思い出し、その友人、すなわち金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長にSNSと電話で連絡し、少し会おうと言ったということになる。そして、正恩氏は板門店まで来たということだ。

当然、事前の計画が全くなかった会談という話は信じ難い。超強大国の大統領は、ある都市を訪問し、そこで知人に会おうと連絡する旅行者のようには行動できない。先月25、26日頃、専門家の間では米朝会談が実現するという噂が流れていた。事前に伝えられたことを考慮するなら、板門店会談は急に準備したものの、当事者の主張ほど突然ではなかった。したがって、私たちはなぜ彼らが通常の首脳会談ではなく「突然の会談」に偽装した政治ショーをしたのかに注目する必要がある。

板門店会談は、象徴性、ムード、ジェスチャー、突然性を強調するが、具体性はほとんどなかった。これは突然性を強調するためと考えられる。一方で、現在の状況で3人の指導者皆、国内政治のために外交成果を必要としている。トランプ氏は大統領選挙が近づく状況で、有権者に自身の外交能力を示さなければならなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、経済が厳しく、総選挙が近づく状況で、国民に対北朝鮮政策という秘蔵のカードを再び取り出す必要があった。興味深いことに、消息筋によると、正恩氏も北朝鮮内部で問題があるようだ。ハノイでの米朝首脳会談の決裂後、北朝鮮エリート階層の内部で「正恩氏は米国にだまされ、正恩氏の外交に対して不満を持つ人が多く出てきた」という話もある。このため、正恩氏も内部に示す外交成果が必要だった。

しかし、国家指導者は単に自身の政治利益だけを考えるわけではない。3人の指導者は、外交を通じて核問題を管理し、解決する意思がある。むろん、彼らが各自望む妥協はかなり違う。正恩氏は、核軍縮あるいは核凍結を受け入れることはできるが、頭の中に「核放棄」は全くない。会談で妥協する考えもあるが、同時に時間を稼ごうという目的もある。トランプ氏は、叶わない非核化の夢をまだ完全にはあきらめていないが、時間が経てば経つほど、「非核化に向けた第一歩」として主張する「核軍縮」に関心が向かうようだ。一方、文氏は現在のような膠着状況が続けば、2017年のように韓半島状況が悪化することが懸念され、今の膠着状態のために南北関係が進展できないことを望まず、どんな妥協であれ受け入れるとみえる。このため、3人の指導者皆、外交交渉を続ける考えがある。

問題は、「ハノイ・ノーディール」後、通常の首脳会談を再び開くなら、トランプ氏も正恩氏も具体的な合意と進展を導き出さなければならないという点だ。しかし短い期間で複雑な合意を準備する可能性はなかった。

そのために板門店会談が必要だった。事前の計画が全くない会談なら、何ら具体的な成果がなくても大きな問題はないためだ。同時に、このような会談で米朝双方は依然として核問題を外交で解決する意思があることを示すことができた。それゆえ、板門店会談を「かなり役立つショー」と見ることができる。最近まで韓半島の状況は、17年と同じ危機の方向に動き始める兆しも見えた。これを考えると、会談そのものは政治ショーだったが、危機に進む状況を食い止めることができた。

ただ、まもなく始まる実務協議に対しては期待よりも現実的に評価するのが良い。北朝鮮は、非核化を受け入れる考えが全くない。体制の安全の約束や他の寛大な補償、制裁解除を提案しても、核を放棄しないだろう。むろん、外交のために各国は依然として非核化を語るだろうが、もはやある程度現実を悟らなければならない。非核化外交の目的は核問題の「解決」ではなく核問題の「管理」だ。深刻になる核危機を管理するとういことだ。