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北朝鮮漁船警戒の失態に嘘まで…平和ムードに酔った軍の悲惨な墜落

北朝鮮漁船警戒の失態に嘘まで…平和ムードに酔った軍の悲惨な墜落

Posted June. 20, 2019 09:41,   

Updated June. 20, 2019 09:41

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軍当局が15日、三陟(サムチョク)付近で発見したと発表した北朝鮮の漁船が、実際は何の制止も受けずに三陟港に来て、接岸していたことが分かった。韓国軍は、住民の通報があるまで、漁船の存在を把握していなかった。軍のお粗末な海洋・海岸警戒態勢が生んだ海上版「ノック亡命」だった。さらに軍は、縮小・虚偽発表で事実をごまかした。鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官は19日、「責任を負わなければならない部分があるなら、厳しく責任を負わなければならない」と述べた。

韓国軍は、北朝鮮の漁船が北方限界線(NLL)を越えて3日間も近海を航行し、NLL南方130キロの三陟港の防波堤付近の埠頭に接岸するまで、把握できなかった。住民の通報を受けて、あたふたと出動した。漁船の南下でなく武装兵士の侵入だったならどんなことが起こっていただろうか、想像するだけでも恐ろしい。にもかかわらず軍は、「全般的な海洋・海岸警戒に問題はなかった」と虚偽の発表をした。そして、現地住民の証言と写真が出ると、後になって警戒の不備と失態を認めた。

軍が19日にした説明は、2日前の発表とは異なった。軍は当初、北朝鮮漁船を発見した地点を「三陟港付近」と明らかにし、海上で発見したように言い逃れた。明白な警戒の失態を隠そうとしたのだ。また、北朝鮮漁船は当初から亡命のために南下したのであって、ボイラーの故障で漂流したわけではなかった。南北関係を意識して亡命を隠そうとしたのではないかという疑念を抱かせる。さらに政府は、漁船を船長の同意の下、廃棄したと明らかにしたが、実際はまだ廃棄されていないことが確認された。南下経路を明らかにする重要証拠を急いで隠そうとしたのではないのなら、意図がまったく理解できない。

今回の事態は、9・19南北軍事合意後、平和ムードに染まって乱れた軍の綱紀と安保態勢を物語る。疎かになってはならない警戒の失態も問題だが、それを隠すために言い逃れる軍の態度からは、北朝鮮を意識した顔色うかがいまで見える。北朝鮮の「弾道ミサイル」挑発もまともに発表せず縮小に汲々とした姿と大差ない。これでは軍に対する国民の不信は強まるだけだ。警戒の兵から国防長官まで、初動段階から報告・指揮ラインまで厳しい問責と共に軍全般の安保意識を点検する契機にしなければならない。