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魔女狩りと英雄

Posted June. 11, 2019 08:40,   

Updated June. 11, 2019 08:40

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英国のモンゴメリー元帥が推進した「マーケット・ガーデン作戦」は、英国と米国の最精鋭空挺部隊が全て投入された史上最大規模の降下作戦だった。運河が多く、狭いオランダの主要な橋梁を、空挺部隊を投じて占拠する。その後、機甲部隊の地上軍が進軍し、一気にオランダを横断してドイツに進入するという構想だった。

想像力あふれる構想だったが、ゲームでも不可能にみえるこの作戦は悲劇に終わった。特に先鋒の英国の第1空挺師団は、ドイツ軍に包囲されて壊滅に近い被害を受けた。

最大の責任があるモンゴメリーは責任を免れた。第1師団長ロイ・アーカートは、空挺部隊の経験が全くない指揮官だった。しかし、意欲的ですばらしい将軍だったが、責任をかぶった。ポーランド空挺部隊長ソサボフスキーは、魔女狩りに遭った。作戦が無理であることを予見し、悲劇が発生すると部隊員の半分を犠牲にして第1師団を救出したが、非難を浴びせられた上に転役を強いられた。

この作戦を扱った映画「遠すぎた橋」では、ロイ・アーカート役は常に英雄的な役どころを演じるショーン・コネリーが、ソサボフスキー役はジーン・ハックマンが務め、彼らが無罪であることを暗示した。

誰かに責任を被せる魔女狩りは、古今東西を問わず行われる。無念であっても指揮官は責任を負わなければならない地位という点で、魔女狩りはリーダーの宿命のようなものだ。しかし、偏狭なリーダーは、自分の責任を隠すために英雄を魔女に変身させたりする。さらに深刻な過ちは、魔女狩りで敗北の原因分析、対策まで覆ってしまうことだ。

韓国の歴史には、しばしばそのようなことが起こった。丙子の乱での義州城の陥落のような悲劇が発生した時、守備隊長に罪をかぶせ、明らかになった問題と改善策まで覆ってしまった。また同じ悲劇が発生すれば、再び魔女狩りをすればいい。魔女狩りは英雄が誕生する余地まで源泉封鎖する。だからなのだろうか、最近は英雄がいないのかも知れない。