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インボサの許可取り消し、バイオ産業の信頼の基礎から再び築くべきだ

インボサの許可取り消し、バイオ産業の信頼の基礎から再び築くべきだ

Posted May. 29, 2019 09:32,   

Updated May. 29, 2019 09:32

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食品医薬品安全処(食薬処)は昨日、コーロン生命科学の骨関節炎遺伝子治療剤「インボサK注」(以下インボサ)の品目許可を取り消し、会社側を刑事告発することにした。インボサが韓国国内初の遺伝子治療剤として承認を受けてから1年10ヶ月ぶりのことだ。

食薬処は約50日間調査を行った結果、インボサの主成分の一つは軟骨細胞ではなく、腫瘍誘発細胞に分類される「伸長細胞」と確認されるなど、コーロン生命科学が許可当時に提出した記載内容が虚偽だったと判断した。また、会社側が許可以前に追加確認された主な事実も隠して提出しなかったと明らかにした。

2年前、新薬インボサは韓国が開発した世界初の骨関節炎の遺伝子治療剤として世界のバイオ業界から注目を集めたが、淘汰の手順を踏むことになった。国内バイオ医薬品業界に対する相当な悪影響が懸念される。何よりも、すでに手術を受けた3700人あまりの患者の安全が最優先されなければならない。食薬処は、今後行われる全体患者のための特別管理と、15年間の長期追跡調査に万全を期さなければならない。

今回の事態は、生命を扱うバイオ産業で不正直さとモラルハザードがどれほど致命的なことか、再び悟らせる。「国内初」「世界初」という成果に目がくらんで、成分の腫瘍誘発可能性を隠蔽したコーロン生命科学は、信頼性の低下はもちろんのこと、会社の生存すら保障できなくなった。株式市場では昨日、関連会社の株式売買が停止となり、インボサを投与した患者の一部は、会社を相手に集団損害賠償訴訟に入った。

国内バイオ医薬品の許認可システムのずさんな管理の問題も明らかになった。特に不良医薬品をきちんと検証もせずに許可した食薬処の責任は決して軽くない。インボサの許可過程で不適切なことはなかったのかもきちんと突き詰めなければならない。

バイオ産業の信頼回復は、未来の成長エンジンを準備する国家レベルで重要な課題だ。政府は22日、バイオヘルス産業をシステム半導体、未来型自動車と共に3大新産業に選んで、研究開発(R&D)に毎年4兆ウォンを投資すると明らかにしている。今回の事態が黄禹錫(ファン・ウソク)事件で大きく萎縮された韓国バイオ業界に、もう一つのトラウマにならないようにすべきだ。バイオ業界と従事者たちは、生命と健康を扱うという使命感と倫理意識をもう一度整え、食薬処は新薬の研究開発段階から許可、生産、使用に至る全過程の安全管理を引き受ける人材と専門性強化に邁進しなければならない。