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会社が存続してこそ職員も存在するという平凡な真理

会社が存続してこそ職員も存在するという平凡な真理

Posted May. 20, 2019 08:54,   

Updated May. 20, 2019 08:54

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双竜(サンヨン)自動車の労組委員長は、車両販売が振るわないというニュースに、先月、営業本部長に面談を要請した。1~3月にレクストン、コランドなどの新車効果のためによかった販売台数が、4月に入って低迷しているという回答を聞くと、彼はこう尋ねたという。「助けになることは何かありますか。

双竜自動車は赤字会社だ。2009年以来、2016年を除いては毎年赤字だった。そのため、韓国国内銀行から相当前から運営資金を借金できず、負債比率がゼロだ。大株主であるインドのマヒンドラ自動車は、2回に渡って資本金を1000億ウォン近く支援したものの、赤字会社にお金を注ぎ込むには限界がある。したがって、双龍自は工場稼働率を上げて収益性を高めなければメンバーが給料を持っていくことができない構造となっている。労組はこのようなことをよく知っている。経営難が続き、労使間の激しい対立の末、会社が法定管理状態に入り、2600人余りが会社を離れた2009年の経験があるからだ。労組委員長が「助けることはないか」と尋ねたのは、工場が回ってこそ労働者も存在できるという平凡な真理を、高価な経験によって悟ったからだろう。

双竜自では、労組執行部があまりすることなくラインの間を歩き回ると、従業員からこう言われるという。 「お前も仕事をしなさい」。双竜自の職員の心構えは、双龍自労組委員長が今年初めに東亜(トンア)日報とのインタビューで口にした言葉からもよく分かる。「大株主は投資し、経営陣は車をたくさん売り、私たちの労働者は一所懸命に車を作って会社を生かさなければならない」。解雇者らが今年中に全員復職を完了すれば、双龍車には、過去の過激な労組執行部も復帰することになる。しかし、使用者側はあまり心配しない。すでに以前の雰囲気に戻るのは容易でない構造になったと見るからだ。

一見、常識的な双龍自労組の反応が新鮮に映るのは、常識が通じない労組があちこちにあるからだ。

11ヶ月間という長い陣痛の末、最近、2018年の労使間賃金と団体協約に暫定合意したルノー三星(サムスン)もそうだ。賃上げ、ラインの再配置時の労組の立場の強化などを掲げて、昨年10月以降62回も部分ストに踏み切ったルノー三星の労組は、手にできるものはすべて獲得して賃金団体協約に合意した。

その間、会社の経営状況は悪化した。4月基準のルノー三星の累積販売台数は5万2930台で、前年比39.6%も激減した。工場の生産台数の半分を占める日産「ログ」の委託生産台数は今年10万台が予定されていたが、6万台に減少した。来年も物量を確保できるかどうかさえ不透明だ。21日に組合員の賛否投票を経れば、この会社は来月にまた2019年の賃金・団体協約に入らなければならない。

現代(ヒョンデ)重工業の労組も先日から部分ストに入っている。この会社は、「本社のソウル移転」が問題だ。大宇(テウ)造船海洋を買収した現代重工業は31日に、既存の現代重工業を韓国造船海洋という中間持株会社と現代重工業という事業会社に物的分割を行う予定だ。韓国造船海洋の本社をソウルに決めると、労組が物的分割に反対するとしてストライキを行っている。

造船・重工業は、グローバル需要の萎縮と中国の激しい追撃により、底まで落ちたが、液化石油ガス(LNG)船の物量が増えたことで、やっと一息つくことができたのが今年のことだ。また船を作って輸出する現代重工業の本社は今後も依然蔚山(ウルサン)だ。

韓国造船海洋は、現代重工業、大宇造船海洋、現代三湖(サムホ)重工業、現代尾浦造船を傘下に置いて研究開発(R&D)を行う組織だ。単なる船舶建造では中国に勝つことができず、世界トップの座を守ることができないから、ソウルに本社を置いて優秀な人材を確保し、R&Dに拍車をかけてこそ将来があるという経営上の判断をしたのだ。このような判断が一体ストライキの対象になるのか気になるだけだ。


ハ・イムスク記者 artemes@donga.com