Go to contents

映画「日日是好日」の原作作家、「茶道は一瞬この世のことを忘れる『小さな出家』」

映画「日日是好日」の原作作家、「茶道は一瞬この世のことを忘れる『小さな出家』」

Posted March. 13, 2019 08:05,   

Updated March. 13, 2019 08:05

한국어

今年1月に公開された映画「日日是好日」を見た人なら、約束でもしたかのように、「絶対見るべき映画だ」と言う。映画の原作は、日本の作家森下典子(63・写真)の自伝的エッセイ「日日是好日」(アルエイチコリア・1万3800ウォン)。二十歳頃に出会った茶道を通じて、人生を勉強する物語を盛り込んでいる。17年前に出版され、今までもステディーセラーとして日本で愛されているという。森下氏とeメールで会った。

―あの難しい茶道を着実に身につけるためには、どんな心構えが必要でしょうか。

「先生は「そんなときは、しばらく心を離しておけばいい」といいました。やめる時までやめない程度の曖昧な気持ちで時間を過ごすことです。そうすれば、本当にやめたいのかどうか、その答えが見え始めます」

―茶道を用意して茶器、掛け軸などの関連器物について対話する過程が、まるで芸術放談のように感じます。

「茶道は芸術であり、哲学、人生の美学であり、自分の心に向き合って季節を味わう時間でもあります。他人をもてなす方法でもありますね。小さな茶室で、一時的に俗世を離れる『小さな出家』とも言えます」

―本には多彩な和菓子(日本の伝統菓子)が登場します。お茶ごとに似合う和菓子が別にありますか。

「和菓子はデザインで季節を表現する伝統的芸術です。桜一つでもいま咲き始めた『初桜』、ゆっくりしおれていく『花吹雪』、川に乗って流れる花びらを表現した『花びらいかだ』などをそれぞれ別の方法で表現します」

―映画を見た感想はどうでしたか。

「監督とスタッフも、撮影前の数ヶ月間茶道を学びました。お茶を知っていく心が観客にうまく伝わったようです。さて、20年余り前、ソウルの地下道で購入した青磁茶碗も今回の映画に出てきました」

―韓国で「日日是好日」の本と映画が愛される理由は何でしょう。

「スピードと効率が強調される社会で、私たちは五感を無視したまま生きていきます。茶室では、生物としての五感を取り戻すことができます。湯の音と冷たい水の音が異なって聞こえるでしょう。作品を愛してくださる方々の無意識に、真の幸福への願いが込められているのでしょうか?」

――頭を「無」にするという点で、茶道は最近流行っている瞑想とも一脈相通じるものがあります。

「雑念を忘れ、ひたすらおいしい一杯のお茶に集中すると、まれに非常に気持ちの良い瞬間が訪れます。それが『無』ではないしょうか?」


李雪 snow@donga.com