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総統は数字にだけ関心がある

Posted December. 25, 2018 08:00,   

Updated December. 25, 2018 08:00

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英国のチャーチル元首相は、故国である英国でも好き嫌いが分かれる人物だ。ただ、短く機転が利き、感動的な名言を生み出す能力は、他の追従を許さなかった。ドイツ空軍の空爆から英国を守った操縦士に捧げた献詞、「人類の戦闘において、かくも多数の人々が、かくも少数の人々によって、これほど多くの恩恵をうけたことはかつてない」という名言は、今でも英国空中戦記念碑から帝国戦争博物館で売られる小さな記念品にまで残っている。

ヘルマン・ゲーリングが率いるドイツ空軍は、空軍力で英国を屈服させるという野心に満ちていた。途方もない数の航空機がドーバー海峡を渡って英国の主要都市に飛んできた。

ドーバー海峡と英国の青空で繰り広げられた英国空中戦は、おそらくSF映画のようにエイリアンが侵攻してこない限り、地球上で再び起こることのない劇的な空中戦だった。この戦闘を映画化した「空軍大戦略」はこの戦闘に参戦した戦闘機の操縦士が撮影に参加し、航空アクションを再現した。青空を背景にエンジン音と雄壮なオーケストラが相まって、荘重なドラマを実現させた。

しかし、英国空中戦も実状を見ると、誤った予測、無謀な作戦、硬直した組織、無能な指導者が失敗の原因だった。ドイツ空軍は初めから戦略目標の爆撃より地上軍の支援能力を重視した。爆撃機も戦闘機をかわすことができる高速能力に重点を置いたため、機体が軽くてスピードがあった。爆弾の搭載量は減り、大型の爆弾は積載できない構造だった。

このような爆撃機で都市爆撃を行い、英国民を屈服させるという作戦を展開することは、釣り竿で鯨を釣るという発想も同然だった。さらにゲーリングが致命的な失敗をする。ドイツ空軍の中でも爆撃機の製作が誤っていると指摘する者がいた。ゲーリングはこう答えた。「総統は、爆撃機の機種より数に関心がある」。軽爆撃機は重爆撃機より早く、数を増やすことができた。全体主義国家だから起きたことだろうか。違う。民主社会、私たちの日常でもいくらでも起こり得ることだ。

歴史学者


李沅柱 takeoff@donga.com