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[社説]ウォール街のデモが示唆するもの

[社説]ウォール街のデモが示唆するもの

Posted October. 04, 2011 03:33,   

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世界金融市場の中心地である米ニューヨークのウォール街で3週間前から繰り広げられていたデモが、先週末、ボストンやロサンゼルス、ワシントンなど、他の都市に飛び火し、カナダなど、外国にも広がる兆しを見せている。当初、このデモは規模も大きくなく、目標もはっきりしていなかった。最初は、職のない若者や学生らが、ウォール街周辺の公園に集まり、枕投げやフェイスペイントなどをしながら、ストレスを発散していた。そのうち、彼らは激しい貧富格差やウォール街のカジノ資本主義を批判し始めた。いつの間にかデモ隊に変わった彼らは、「ウォール街を占領せよ」というスローガンを掲げ、ツイッターなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じ、より多くの人々を集めた。

デモ隊は、「米国人の上位1%が、下位90%をあわせたものより、さらに多くの所得を上げている」、「銀行家らは景気のよい時は私腹を肥やし、破産寸前に追い込まれると、政府に借金だけ押し付け、国民を失業者に追い込んでいる」などと主張し、自ら憤りを増幅させた。映画監督のマイケル・ムーア、女優のスーザン・サランドンのように有名人や巨大労組の運動家らが訪れ、デモ隊は先週末、ニューヨークだけでも数千人へと増えた。

ウォール街でのデモは、フランスや英国移民者暴動、ギリシャの福祉病デモ、アラブ諸国の民主化デモとは性格が異なる。移民者暴動とは違い、略奪が無く、福祉病デモのような激しい街頭闘争も無かった。民主化デモのように、銃弾や砲弾が飛び交うことも無い。ただ、歩行者通路に進めるべきだという警察の警告にもかかわらず、車道の上を練り歩いたという理由で、デモ隊700人あまりが連行されただけだ。

しかし、ウォール街でのデモは、世界資本主義の脆弱さを浮き彫りにした。デモ隊が主張する反市場主義には同意できないが、銀行や企業の極端な利己主義が、世間の不信や不満を生んでいるのは事実だ。銀行は、リスクだけを社会に回し、利益は個人だけが手にしたのではないか、企業は職員らを配慮するよりは、経営陣や大株主の懐だけ肥やしたのではないか振り返るべきだと、ウォール街のデモ隊は要求している。

資本主義と民主主義は一組だ。資本主義が共産主義より優れているのは、民主的手続を通じ、自らを見直すことができることだ。資本主義は危機のたびに変化を遂げてきた。1930年代の大恐慌は、ケインズ流経済やべバレージ流福祉で、1970年代のインフレにはサッチャーやレーガン流の経済で、危機を克服した。世界各国の政府や企業、銀行、資本家などは、今回のウォール街でのデモで、どのようなメッセージを見つけ、どのように対応するのか、真剣な模索が必要だ。